2016 年 6 巻 3 号 p. 335-343
国内外において医薬品の市販後リスク管理に対する関心が高まっている. 本稿では, 我が国におけるこれまでの市販後安全性監視の状況を振り返りつつ, 安全対策の視点から, 近年, その利用のための環境整備が進んでいる医療情報データベースおよび自発報告データベースの特徴と利用についての概況を述べる. また, リスク最小化活動の効果を評価していくための取り組みの重要性を紹介する. 今後, 各種のデータベースの利用も含め, 医薬品の市販後安全性情報の収集のための手法を多様化させていくことが必要であり, その際には, 薬剤疫学に関する基礎的な知識と経験の蓄積がその重要な基礎となる.