抄録
通信路等化問題においては従来,通信路は未知定数であるとして扱われることが多かった.しかし実際には確率的に変動することも多い.通信路を確率的モデルで表すことにより,従来よりも高性能のブラインド通信路等化が実現できる可能性がある.そこで本論文では,通信路の確率モデルのパラメータと送信シンボルをそれぞれ未知パラメータと欠損データとみなしてEM アルゴリズムを用いることにより,送信シンボルを推定する方法を提案する.提案手法は原理的に,送信シンボルの絶対値が異なる場合には従来法よりすぐれ,同じ場合には従来法と同等の性能を示すので,16QAM などの場合に有効性がある.これは計算機実験により確認された.