抄録
リアルタイムシステム上で複数のソフトリアルタイムアプリケーションが同時に動作しているような場合に,過負荷状態を避けるスケジューリング手法の一つとして,総CPU利用率を一定値に保ちながら,アプリケーションのQuality of Service (QoS) を公平にする動的なQoS適応制御を,既に筆者らが提案している.本稿ではこの制御を,CPU時間予約機能を持つリアルタイムOS上で実装し,提案手法の有効性を検証する.実験では,異なるQoS関数を持つ複数の画像トレースアプリケーションの公平化制御を行う.過負荷状態を避けながら,全てのアプリケーションのトレースミス率が等しくなるようなCPU時間の配分が動的に達成できることを示す.特に,QoS関数の傾きの最大値さえわかればQoSの公平化が可能であることを実証する.