抄録
線形二次錐計画問題とはアフィン集合と二次錐の直積をアフィン変換した集合との共通集合上において,アフィン関数を最小化する問題である.線形二次錐計画問題の解法としては内点法(特に主双対内点法)が最も知られているが,線形計画問題に対する単体法を拡張した単体法的手法に関しても,これまでいくつかの研究がなされている.しかし,既存の単体法的手法は実装に至っていなかったり,一部のクラスの問題に対してしか適用できないという問題点がある.そこで,本報告書では線形二次錐計画問題を線形半無限計画問題に変換し,線形半無限計画問題に対する単体法的手法として知られているDual-SimplexPrimal-Exchange法を適用することを考える.ここで,線形半無限計画問題とは,目的関数が線形で,制約条件が有限個の線形等式と無限個の線形不等式で表されるような問題である.さらに,この線形半無限計画変換に基づく単体法的手法と,既存の主双対内点法のソルバーとの比較実験を行う.特に,構造が似ている複数の線形二次錐計画問題を逐次的に解く場合に,単体法的手法が有効であることを確認する.