抄録
厚板圧延における断面内温度分布の最適制御法を検討した。厚板圧延の製品品質を保証するためには断面内の温度分布が所定のものであることと,その冷却速度が目標通りであることが求められる。実際の圧延では,圧延材の長手方向の温度が先端と後端で異なるため,これを考慮した冷却制御により厚板断面内の温度分布の適正な制御が必要である。冷却帯における各帯の水量についての動的な変更や通板速度の調整が求められる。本研究では,2次元温度分布を記述する数学モデルを基にガラーキン法を用いて離散化モデルを導出する。さらに,圧延状況の変化に対応するための温度制御の目標値と水量の補償量を求めるために離散化モデルと最適化法を組み合わせた温度分布制御システムを作成した。数値実験により種々の圧延状態を想定した制御実験を行い提案法の効果を確認した。