抄録
スパイキングニューラルネットワーク(SNN)はスパイクの発火時刻あるいは発火間隔により情報を伝達する点で生体に近く、活発に研究されているが、不連続性とハイブリッド性を持ち、設計・解析が非常に困難である。 一方、学習法の研究についてはいくつかの提案がなされており、リカレントSNNに対しては勾配法に基づく教師つき学習法について、勾配の導出法などいくつかの研究が進められてきた。しかし、従来の勾配法に基づくSNNの研究では、結合荷重の初期値に自由度が低いことが数値実験的に明らかにされている。 本研究では、学習にParticle Swarm Optimization(PSO)を用いた、結合荷重の初期値の選択に自由度が高い学習法を提案する。 また、PSOは局所最適解に陥ることなく解空間を探索できる一方で、最小値の周りを詳細に探索する能力を持っていないので、最適解近傍への収束性は良いが最適解への収束性が悪いと言われている。本研究では上記の問題点を解決する為に、PSOと勾配法を組み合わせた方法についても提案する。