抄録
信号処理において劣化の問題は避けられない.信号劣化は信号の入力時,記録時,伝送時などに起こる.例えば,デジタルカメラでは画像センサーの高画素化に伴い,1画素あたりの受光面積が小さくなり雑音の影響を受け易くなっている.また,センサーより入力された画像は一般にJPEGなどの非可逆圧縮の劣化を受けて保存される.本研究ではJPEG画像から原画像を推定する問題を考える.解決法として最小2乗基準に基づく手法よりも良好な推定がされる全変動(Total Variation)ノルムを用いた手法を利用する.初めにその特性を検証後,JPEGの劣化過程を実験的に求める.そして,適応フィルタを用いた提案手法で画像修復を試み,その有効性を示す.