抄録
本研究では,離散時間線形時不変系の分散型H∞制御問題に対して近年提案された,達成可能なH∞性能の下界値を解析するための手法の有効性を検証する.この手法は,下界値を解析するためのSDPを制御対象の構造に基づいて導くというものであり,とくに制御対象が分散制御問題においてしばしば見受けられるような特徴的な構造を有する場合には,より保守性の低い下界値を求めることが可
能であることが示唆されている.本研究では,制御対象がいくつかの特徴的な構造を有する場合には実際に保守性の低い下界値が得られることを,数値例を用いて実証する.