2019 年 72 巻 p. 17-24
短周期微動を利用しての浅部2次元S波速度構造探査の新たな手法開発を目的とし,岩手大学理工学部グラウンドにおいて11点三成分リニアアレイ微動観測を実施し,上下(UD),radial(NS),transverse(EW)方向の相互相関関数を重合する地震波干渉法による解析を行った。リニアアレイで微動計を等間隔に配置した結果,重合相互相関関数は,NS,EW,UD全ての方向で波動の伝播を確認することができた。マルチプルフィルタ解析により推定した群速度は,特にNS方向でSN比が低く,妥当な推定が困難であった。それに対して,EW,UD方向では,SN比が10より高い周波数範囲が広いことが示された。また,既存モデルから計算したものと比較しても近い値をとっていたことから,妥当な群速度の推定ができたと考えられる。全組み合わせで得られた群速度を2次元表示した結果,高周波数では場所によって群速度が若干変化していることが明らかになった。