雪氷
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論文
雪氷用MRI高速撮像法を用いた湿雪試料の最適な撮像法の検討
安達 聖勝島 隆史
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2021 年 83 巻 6 号 p. 569-578

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抄録

雪氷用Magnetic Resonance Imaging(核磁気共鳴画像法.以下,MRI)を用いて湿雪試料中の水分分布を計測するために,数十分から数時間必要としていた撮像時間を数分にまで短縮する撮像法を検討した.他分野で使用されているMRIでは様々な高速撮像法が開発され利用されているが,いずれの撮像法も解析に耐える画像を取得するためには極めて綿密な最適化が必要であり,雪氷用MRIに応用することは難しい.本研究では,画像化に必要な核磁気共鳴信号の取得を間引くことにより撮像時間を短縮する圧縮センシングを,これまで雪氷用MRIで使用してきた撮像法と併用することで,従来の撮像法の30 %の時間で撮像できることを確認した.0.4 mmの空間分解能で撮像視野一辺51.2 mmの立方体の3次元画像を取得する撮像時間は3.3分であった.また,撮像シーケンスにおける繰り返し時間を水の縦緩和時間よりも短く設定し,段階的にこれを短くすることで撮像時間の短縮を図り,これにより得られた各画像より,画質の目安となる信号対雑音比や,真水が占める面積比,撮像時間を比較することで,湿雪試料中の水分分布を計測する際に最適な撮像法を選択するための指針を検討した.

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© 2021 公益社団法人 日本雪氷学会
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