環境科学会誌
NOx・PM法における車種規制の経済分析:定量的政策評価
有村 俊秀岩田 和之
著者情報
ジャーナル フリー

21 巻 (2008) 2 号 p. 103-114

詳細
PDFをダウンロード (1631K) 発行機関連絡先
抄録

 本研究は,いわゆるNOx・PM法の車種規制について,定量的な政策評価を経済学的な視点から行ったものである。車種規制は東京圏,名古屋圏,大阪圏などの特定地域における車齢の高い車両の使用・登録を禁止する法律である。したがって,車種規制による自動車余命短縮の費用を,規制のもたらす費用として試算を行った。費用積算に際しては,分析の頑健性を確保するため,自動車登録データを用いて規制対象車両を全て特定した上で,一台ごとに費用を求め,その合計を求めた。全規制対象車両の費用を2004年から2024年まで合計すると,車種規制がもたらす費用は割引現在価値で約8,781億円となった。 一方,車種規制の主要な便益としては,排出削減によってもたらされる健康被害の減少等が挙げられる。車種規制によって新型車種に買い換えられることにより,排出原単位が低減する。それによって排出量が削減し,健康被害が減少するのである。この健康被害減少の便益を求めるために,自動車登録データを用いて一台当たりの削減量をNOx及びPMそれぞれについて算出した。次に,2004年から2024年までの各年について,その削減量を全規制対象車両について合計した。最後に,このNOx及びPMの排出削減量を,先行研究の外部費用推定値を用いて貨幣換算し,2004年から2024年までの便益の割引現在価値を求めた。その結果,規制によってもたらされる便益は,約13,948億円と試算された。 便益から費用を引いた規制の純便益は,約5,166億円と試算された。したがって,社会的純便益は充分に大きく,車種規制は経済学的にみても支持される政策だと考えられる。今後はこのような政策評価が事前に行われることが望ましい。。

著者関連情報
© 環境科学会
次の記事

閲覧履歴
feedback
Top