環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
Print ISSN : 0915-0048
ISSN-L : 0915-0048
資源作物の燃料材代替による発展途上地域の二酸化炭素排出削減ポテンシャルの評価
天野 耕二垣守 雅善加用 千裕
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 21 巻 2 号 p. 133-142

詳細
抄録
 地球規模の気候変動や砂漠化が深刻化する中,先進国を中心にバイオマス資源の活用が注目されているが,発展途上地域ではバイオマス資源である燃料材(薪炭材)の過剰伐採が森林減少の要因のひとつとなっており,将来の化石燃料需要の増加も懸念されている。本研究では,発展途上地域における森林減少を伴う燃料材へのエネルギー依存を低減し二酸化炭素排出量を増加させないカーボンニュートラル(炭素中立)型経済発展の方向性を考察する視点で,資源作物として1年程度の周期で収穫可能な草本系バイオマスの導入を検討し,その燃料材代替による二酸化炭素排出削減ポテンシャルを評価した。森林火災以外の森林面積減少を伴う木質系燃料材(非カーボンニュートラル系燃料材)の2000年および2030年における消費量を推計した上で,それらのエネルギー需要を資源作物に代替するシナリオを検討した。1990年代に森林火災以外の要因で森林面積が減少している51の発展途上地域を対象として,永続農耕地で一年生イネ科植物の輪作を行い,農耕可能地の一部で多年生イネ科植物を栽培することにより,非カーボンニュートラル系燃料材需要の代替に必要な資源作物が栽培可能であることが確認できた。さらに,非カーボンニュートラル系燃料材代替を果たした上で余剰となる草本系バイオマスのエネルギー利用で化石燃料需要の一部を代替することにより,2030年に予想される発展途上地域からの化石燃料由来二酸化炭素排出を最大18%程度削減できる可能性を示した。
著者関連情報
© 環境科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top