I.目的
咀嚼は口腔内に摂取した食物を切断・破砕し,嚥下に適した大きさの食塊を形成するリズミカルな筋の協調運動である.ヒトにおいては,離乳期から乳歯列期にかけて咀嚼時の咀嚼筋活動が成人と同等まで成熟するという報告1)があり,離乳直後の期間は咀嚼運動を獲得・完成するための重要な期間であると考えられる.
離乳後の咀嚼運動の経日的変化については,ウサギの日中咀嚼筋活動を経日的に解析した報告2)や,ラットの離乳前後に摂食時の咀嚼筋活動を横断的に解析した研究3)はあるものの,この期間の咀嚼運動の動態変化に関する研究は極めて少ない.また、咀嚼運動パターンの個体間差を考慮すると,幼齢動物における咀嚼運動の経日的な変化を縦断的に調べる必要があると考えられる4).
そこで本研究では,ラットにおいて,行動学的および筋電図学的な方法を用いて,離乳以後の咀嚼運動の経日的変化を縦断的によって明らかにすることを目的とした.