心臓
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第28回 心臓性急死研究会
Fallot四徴症術後遠隔期にカテコラミン誘発性多形性心室頻拍が疑われICD植込みを行った1例
上岡 亮森田 宏西井 伸洋橘 元見津島 翔中川 晃志渡邊 敦之中村 一文永徳 隆裕馬場 健児大月 審一笠原 真吾佐野 俊二永瀬 聡伊藤 浩
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2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_163

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抄録

 症例は3歳の男児. 生後6カ月でFallot四徴症 (TOF) に対し修復術施行, 術後高度肺動脈弁逆流 (PR) が残存し加療中であった.

 三輪車に乗っている際に心肺停止状態となり, 救急搬送された. 初期波形は心室細動であり, 電気的除細動器により停止するも, 啼泣および興奮時に繰り返し二方向性の心室頻拍 (VT) をきたした. β遮断薬・Ⅰ群薬での治療を試みたが発作抑制されず, 徐脈も著明となり増量困難であった.

 心臓電気生理検査では瘢痕は見られず, プログラム刺激でVTは誘発されず, カテコラミン負荷で多源性VTが誘発された. VTは手術切開線と関連無く, 交感神経亢進時に誘発される二方向性VTで, カテコラミン誘発性多形性心室頻拍 (CPVT) と診断. 薬物治療は限界で高度PRもあり, 開胸下で右室流出路再建術, ICD心外膜リード植込みを行った. 心房ペーシング下でのβ遮断薬内服で, VTの再発は見られていない.

 TOFにCPVTが合併した稀有な症例を経験したので報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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