2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_163
症例は3歳の男児. 生後6カ月でFallot四徴症 (TOF) に対し修復術施行, 術後高度肺動脈弁逆流 (PR) が残存し加療中であった.
三輪車に乗っている際に心肺停止状態となり, 救急搬送された. 初期波形は心室細動であり, 電気的除細動器により停止するも, 啼泣および興奮時に繰り返し二方向性の心室頻拍 (VT) をきたした. β遮断薬・Ⅰ群薬での治療を試みたが発作抑制されず, 徐脈も著明となり増量困難であった.
心臓電気生理検査では瘢痕は見られず, プログラム刺激でVTは誘発されず, カテコラミン負荷で多源性VTが誘発された. VTは手術切開線と関連無く, 交感神経亢進時に誘発される二方向性VTで, カテコラミン誘発性多形性心室頻拍 (CPVT) と診断. 薬物治療は限界で高度PRもあり, 開胸下で右室流出路再建術, ICD心外膜リード植込みを行った. 心房ペーシング下でのβ遮断薬内服で, VTの再発は見られていない.
TOFにCPVTが合併した稀有な症例を経験したので報告する.