心臓
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臨床 不安定狭心症の病型と冠動脈造影像
不安定狭心症の病態の検討
藤井 諄一相澤 忠範小笠原 憲小野 彰一澤田 準岡部 昭文久保木 正夫麻野井 英次渡辺 熙太田 昭夫小山 晋太郎加藤 和三
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1984 年 16 巻 3 号 p. 247-258

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抄録

AHAの定義に基づく不安定狭心症を労作型(E), 安静型(R)および労作兼安静型(E+R)に分類し, さらに各々をI群(初発群), II群(再発群), III群(増悪群)に分けて, それらの冠動脈造影像を比較検討した. 1)Eの多くは強い冠病変を有していたが, Rでは冠病変の軽いものが多く, (E+R)では両者の中間的所見を示した. またI群(初発群)はIII群(増悪群)に比し冠病変が軽い傾向を示した. 2)RおよびE+Rの発作発現および不安定化には, 冠攣縮ないし壁トーヌスの異常亢進の関与する可能性が大きいと考えられた. 3)発作が頻発し切迫心筋梗塞を呈する例ではEおよびE+Rの多くが冠動脈近位部に 90-99%の狭窄を有し, RおよびE+Rの多くが冠攣縮ないし壁 トーヌスの異常亢進を示した. 以上より狭心症の不安定化には冠病変の進行と冠攣縮の双方が関与するものと考えられるが, ことにRおよびE+Rの不安定化には冠攣縮ないし壁トーヌス亢進の関与が大であると考えられた.

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