心臓
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症例 原発性心横紋筋肉腫の1剖検例
症例報告および本邦報告例の集計
足達 教住江 道正松山 公明田中 裕幸山下 良直緒方 雅彦古賀 義則戸嶋 裕徳森 松稔神代 正道
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1986 年 18 巻 3 号 p. 309-314

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抄録
原発性の心臓悪性腫瘍はきわめてまれな疾患であり,本邦ではこれまで約100例の報告例があり,その中で,横紋筋肉腫は本例を含め28症例がみられた.本報告では自験例とともにこれまでの本邦報告例の臨床像を検討した.
症例は27歳女性,第2子出産後,全身倦怠感出現し,約4カ月で心症状増悪し入院す.心エコー図,CTスキャン,心血管造影法にて左房内腫瘍と診断した.手術所見にて悪性腫瘍が疑われ,組織所見は横紋筋肉腫であった.その後肺炎,膵転移をきたし,術後3カ月半で死亡した.本例では,急激な心症状の出現,増悪,心エコー上腫瘍発生部位後方の不規則なエコー量の増大は,腫瘍の浸潤による所見を示しているものと考えられた.
報告28例の検討では,男性に多く,好発部位は左房で,右室がこれに次いでいた.大きさは種々で血行性およびリンパ行性転移が高頻度にみられた.
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