心臓
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症例 ビタミンB1燐酸化障害による脚気心の1例
三浦 彰竹村 元三西岡 昭規会田 正康和田 泰三琴浦 肇渡部 良次
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1988 年 20 巻 10 号 p. 1234-1238

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抄録
約10年前より,我が国で,主に若年者に発症するビタミンB1欠乏による脚気心が報告されているが,我々は今回,ビタミンB1酸化障害により発症した脚気心を経験し,Swan-Ganzカテーテル挿入下に,フルスルチアミン100mgを静注し,静注開始後わずか!5分後に,心拍出量が13.7l/分から7.9l/分へ減少し,末梢血管抵抗が460dynes・sec/cm5から890dynes・sec/cm5へ増加するのをみた.ビタミンB1燐酸化障害はビタミンB、20mg負荷試験により診断した.ビタミンB1燐酸化障害による脚気心の治療には,ビタミンB1大量投与が有効といわれており,本例でも,通常投与量では血行動態は完全には正常化せず,大量の投与により正常化した.食生活上,ビタミンB1欠乏のない者にも脚気心が発症しうることは,臨床上,注意を要すると思われる.
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