抄録
親水性領域(メタクリル酸ジメチルアミノエチル,DAM)と疎水性領域(メタクリル酸エチル,EMA)を併せ持った両親媒性ポリマーに着目をし,このなかでも疎水性を向上させた親水性:疎水性比が60:40の機能性ポリマーを新たに合成し,Aspergillus brasiliensis,Cladosporium cladosporioides,Fusarium oxysporumに対する抗カビ効果の検討を行った。菌糸体成長阻害試験においては,全てのカビに対して低濃度で高い効果を発揮しており,A. brasiliensisに対する最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺真菌濃度(MFC)はいずれも1.25 wt%という結果が得られ,本ポリマーは殺カビ的に効果を示すことが明らかとなった。またポリマー添加による菌糸成長への影響をスライド培養で観察した結果,分生子頭およびセプタの形成阻害が認められ,更にはエルゴステロール量の増加を示した。よってエルゴステロールの過剰合成あるいは過剰蓄積から,菌糸伸長阻害および分生子形成阻害を引き起こしていることが推察された。以上より,本ポリマーはエルゴステロール阻害剤ではない,新たな作用機序を有する可能性があり,室内環境に応用可能な新たな抗カビ剤としての利用可能性が高まった。