抄録
精練した家蚕糸に低温冷凍とマイクロ波加熱処理を行い, その形態構造と力学特性を調査した。その結果, 低温冷凍処理による家蚕糸の横断面形態に著しい変化は見られなかった。しかし, マイクロ波加熱による家蚕糸の横断面の形態には明らかなマイクロボイドが現れ, そこで多くのフィブリル状繊維が観察された。また, イオン侵蝕処理を行うと家蚕糸繊維のフィブリルの形状が変わり, フィブリル間の空隙が大きくなる傾向が観察された。未処理家蚕糸繊維と低温冷凍処理した家蚕糸繊維の表面形態が平滑であるのに対して, マイクロ波加熱による家蚕糸繊維の表面にはひび割れが現れた。未処理家蚕糸の侵蝕跡形態はやや水平な層状の波状紋を有していたが, 低温冷凍後マイクロ波加熱処理した家蚕糸の侵蝕跡形態は乱れた網状であった。さらに, 低温冷凍後のマイクロ波加熱によって家蚕糸の強力と伸長は低下した。