日本シルク学会誌
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12 巻
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原著
  • 神津 剛夫
    2003 年 12 巻 p. 3-7
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     中国の大中節検査について、サンプリング誤差及び格付信頼性を調べるため、区分別節出現割合が異なるいくつかの出現モデルを設定し、抽出実験を行うと共に、その結果を日本の節検査についての同様の実験結果と比較した。
     サンプリング誤差、誤格付率ともに、節1個あたりの失点が大きい大節の出現割合が高くなるほど大きくなり、また、該当格別にみると、誤格付率は、格幅が小さい上位格になるに従って大きくなっていることがわかった。また、日本の節検査と比較すると、同一の該当格では、格幅が小さい方が誤格付率が大きくなっていることがわかった。
  • 操 利一, 古川 郁子, 塩崎 英樹
    2003 年 12 巻 p. 9-12
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     絹糸をエポキシドで化学修飾することによる藍染めの染着効率の向上と毛羽発生の抑止について検討した。エポキシド (エチレングリコールジグリシジルエーテル ) の 12 %水溶液で常温パット・バッチ処理した絹糸と無処理絹糸について,灰汁建てした天然藍液で染色を行った。その結果,エポキシド処理絹糸の3回染色は無処理絹糸の5回染色とほぼ同等の表面染着濃度K/S値を示し,かつ毛羽発生を抑止することができた。引張性能は両者にほとんど差異がなく,摩擦堅ろう度はエポキシド処理絹糸の方が濃色であるにもかかわらず無処理絹糸と同等の成績を示した。
  • 鄒 利雲, 陳 宇岳, 西岡 孝彦, 三浦 幹彦, 森川 英明, 岩佐 昌征
    2003 年 12 巻 p. 13-17
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     精練した家蚕糸に低温冷凍とマイクロ波加熱処理を行い, その形態構造と力学特性を調査した。その結果, 低温冷凍処理による家蚕糸の横断面形態に著しい変化は見られなかった。しかし, マイクロ波加熱による家蚕糸の横断面の形態には明らかなマイクロボイドが現れ, そこで多くのフィブリル状繊維が観察された。また, イオン侵蝕処理を行うと家蚕糸繊維のフィブリルの形状が変わり, フィブリル間の空隙が大きくなる傾向が観察された。未処理家蚕糸繊維と低温冷凍処理した家蚕糸繊維の表面形態が平滑であるのに対して, マイクロ波加熱による家蚕糸繊維の表面にはひび割れが現れた。未処理家蚕糸の侵蝕跡形態はやや水平な層状の波状紋を有していたが, 低温冷凍後マイクロ波加熱処理した家蚕糸の侵蝕跡形態は乱れた網状であった。さらに, 低温冷凍後のマイクロ波加熱によって家蚕糸の強力と伸長は低下した。
  • 白 倫, 許 建梅, 森川 英明
    2003 年 12 巻 p. 19-25
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     定粒混繰生糸を構成する繭糸繊度系列の連続性について解析を行った結果、繭糸長の変動による繭糸繊度系列の自己相関係数を減衰振動モデルで表わすことができた。また自己相関係数特性への影響因子について検討しシミュレーション実験によりその適用性などを調べた。
  • 木下 晴夫, 小瀬川 英一, 廣川 昌彦, 立松 謙一郎, 永易 健一, 山本 俊雄
    2003 年 12 巻 p. 27-34
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     農業生物資源研究所が保存する蚕遺伝資源のうち、地域型蚕品種・日本改良種は 52 品種ある。この中で繭糸質に関わる量的形質のデータが揃っている 47 品種について、量的形質の相互関係を相関分析して日本改良種の特徴を明らかにした。さらに、これらの量的形質を多変量解析法の主成分分析法により解析し、総合特性値として集約した。また、総合特性値と量的形質との関係を明確にするとともに、製糸の立場から総合特性値の意味づけを行い、日本改良種の品種特性についても検討した。
  • 齋藤 宏, 太田 正徳, 及川 浩子, 伊香賀 敏文, 上石 洋一
    2003 年 12 巻 p. 35-40
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     絹セリシンとタンニン酸とを併用して、パッドアンドキュア法で合成繊維に対する絹タンパク質加工を行った。セリシン濃度 0.1% で加工したポリエステル試験布は、水滴の拡散時間がセリシンを含まない系で加工した試験布と比較すると、著しく短くなった。また、前者の風合いは、柔軟さやヌメリ感が得られた。さらに加工布の洗濯耐久性も認められた。
  • 藤居 眞理子
    2003 年 12 巻 p. 41-48
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     太陽光線はスオウ染色布を変退色させる。しかし、染色時の太陽光線はブラジリンの酸化を促進し発色を高めるのではないと考え、浸染と引き染めについて、屋外の太陽光線下と室内暗所とで、酢酸アルミニウム媒染で赤色染め、塩化第一鉄媒染で紫色染め、塩化第二鉄で黒色染めを、それぞれ中色程度の濃度に染色し、太陽光線が発色に及ぼす影響について、室内暗所で染色した濃色を対照に検討した。評価は染色布の反射率スぺクトルと、測色により行った。浸染では、赤色染め、紫色染め、黒色染めのすべてにおいて、太陽光線による発色の影響は認められなかった。引き染めでは前述のすべてにおいて太陽光線下で染色した中色が、室内暗所で染色した中色よりも、対照である室内暗所で染色した濃色に近い発色が得られ、太陽光線による濃色化を確認することができた。赤色染めが最も濃色化が顕著であり、黒色染めでも明らかな濃色化が認められ、紫色染めでは若干の濃色化が認められた。
  • 名倉 明夫, 瓜田 章二
    2003 年 12 巻 p. 49-56
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     特徴ある優れた絹を作出するために、小石丸と中 515 号を交配し、その繭生産技術およびその性状と諸形質について検討し、さらにその繭から繰製した生糸の力学特性を検討した。飼育では概ね既存技術の適用が可能で、またより労力の削減をすることができた。その生糸の特性は、弾性に富み、柔らかくしなやかでしわになりにくく、耐久性にも優れる性能をもつ絹素材であることが示された。
  • - 座繰り生糸との比較を含めて -
    髙林 千幸, 井澤 一郎, 高橋 茂夫, 宮﨑 栄子, 中村 邦子, 宮坂 照彦
    2003 年 12 巻 p. 57-64
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
      The difference of reeling tension when the reeling speed was changed from the low speed (30m/min) to the high speed (240m/min) in the automatic reeling machine (ARM) was not so much, namely, it was about 5-8 grams at each reeling point (0.2-0.3g/d, at 27 denier reeling). The reeling tension of the sitting type reeling machine (SRM, Zaguri-ki, moved by the motor) was obvious different from the ARM, it was very low, that is, when the reeling speed was 120m/min, the tension of the ARM was about 23 grams and the SRM was about 8 grams at the former point of winding the wheel. The characteristics of silk thread was that the more the reeling speed, the less the elongation of silk thread, and the more the reeling speed, the more the tenacity and Young's modulus. Regarding the fabric properties, the fabrics of the low reeling speed was relative soft, and had comparative high value of FUKURAMI (Fullness and softness) by KES system. The fabrics made of silk threads reeled by the SRM was higher value of SHINAYAKASA (Flexibility and soft feeling) than the ARM at the same reeling speed (120m/min). This was considered to be influenced by the reeling tension. It is difficult for the ARM to approach the reeling tension of the SRM, because the reeling mechanisms are quite different between them. This shows a direction considering the mechanism which is able to reel a soft and bulkiness silk .
  • 李 奇菊, 森川 英明, 三浦 幹彦, 岩佐 昌征
    2003 年 12 巻 p. 65-70
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2013/02/16
    ジャーナル フリー
     養蚕における飼育環境の適正化は, 収繭量や繭糸質向上のために重要である。本研究では, 飼育時の温度環境が蚕の生体に与える影響を検討するため, 筋電位計測法の一つである表面電位計測法と画像解析システムを用いて蚕の背脈管の脈動状態について検討した。蚕品種N124×C124・5齢期幼虫の背面2箇所に電極を設置し, 表面電位の計測および背脈管の収縮拡張現象の解析を行った。その結果, 22.4~25.6℃と飼育環境温度が上昇するにつれて蚕の体表面から得られる電位の周波数ピークは0.55Hz~0.81Hzと大きくなっており, 背脈管の脈動周期は短くなることが知られた。さらに周期的な収縮運動の中に小さな振動要素が見られ, これは温度上昇に伴って段階的に少なくなることが確認できた。
第51回日本シルク学会研究発表要旨
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