2002 年 43 巻 2 号 p. 45-50
今日,理科教育の研究を考えるとき,認知心理学的観点にたち,スキーマ理論を中心に展開されている。しかし,スキーマの脳構造からの実体ははっきりせず,脳科学的な研究が焦眉なものとなってきている。そんな中で,非侵襲的な脳測定のための装置が開発されてきているが,それらの中で比較的測定が容易に使用できる脳波測定による研究が期待される。しかし,脳波は医者の方では重宝されてきたが,教育における認知ということを考えたとき,それが何を測定しているのかあまりはっきりしていない。特に授業やディベートでの相互作用を起こすような場面での使用はされてこなかった。そこに測定されているものは何かという知見がはっきりしていない。そこで,脳部位と思考,身体動作等について理科教材のディベート中の被験者の脳波を測定,検討した結果,それらの関係を実証的に明らかにすることができた。