2004 年 44 巻 2 号 p. 47-58
これまで,協同作業における理解活動の機能的分化には,学習者がより効率的な認知的活動を展開できる可能性が示唆されてきた。しかし,科学的なコミュニケーション活動の活性化をねらいとし,理解活動の機能的分化を手段とした場合の教授法についてはさほど実証的には検討されていない。本研究の目的は,小学校6年「電流と電磁石」の単元の授業(全11時限)を事例とし,児童の科学的なコミュニケーション活動を活性化する手段として“循環型の問答ー批評学習"を利用する授業を設計し,児童・教師の会話の分析と質問紙調査から, この教授法の有用性を検討することにある。その結果,本事例の範囲内で,循環型の問答一批評学習利用には,児童のメタコミュニケーションを促し,科学的なコミュニケーション能力を高めあう教授法として有用性があることが見い出された。