理科教育学研究
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原著論文
ニューヨーク州におけるパフォーマンステストを含む科学の学力テストに関する研究 : バッファローにおける実施とその効果の分析
古屋 光一
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2009 年 50 巻 1 号 p. 51-65

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抄録

ニューヨーク州では,2002年から学カテストを実施している。科学のテストは第4学年と第8学年を対象に実施され,筆記テストとパフォーマンステストからできている。本研究ではこの学カテストの目的,実施状況,その効果について調査を行った。調査方法は文献調査とインタビューであった。その結果次の3点が明らかになった。(1) 目的は児童生徒の一人一人の達成状況の把握と教育プログラムの評価である。筆記テストの多肢選択問題は前者に,パフォーマンステストは後者に対応する。(2) 実施状況については,ニューヨーク州で最大の教育区,バッファローに注目した。ここでは,筆記テストは各校で採点を行うが,パフォーマンステストについては信頼性を確保するために採点チームを作り,モデレーションを行っている。また,教育委員会が実験・観察教材の開発,教員研修を行っている。(3) 効果としては,パフォーマンステストが導入されたことにより,教員は従来行っていた講義型の授業から,実験・観察を取り入れた探究型の授業へ転換することが必要になった。その結果学力が向上する傾向が見られる。

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© 2009 日本理科教育学会
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