理科教育学研究
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原著論文
発展的な学習内容と推論の相違に基づく子どもの科学的認識の実態
益田 裕充
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2009 年 50 巻 1 号 p. 67-74

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抄録

本研究においては,中学校第2学年大項目 「電流と磁界」の電流と磁石がつくる磁界からコイルが受ける力の向きの学習をとりあげた。そこで,演繹的な学習と帰納的な学習のそれぞれに,フレミング左手の法則を学習内容として加えた群と加えない群をつくり,中学生の科学的な概念形成の実態を学習直後および3ヶ月が経過して調査した。その結果,学習直後において演繹的な学習に取り組んだ群と帰納的な学習に取り組んだ群の中学生の科学的な概念形成に有意差は生じなかった。しかし,学習後3ヶ月が経過して,フレミング左手の法則を学んだ群と,学んでいない群の中学生を比べると,コイルがうける力の向きに正答できる学習者に有意差は生じなかったが,フレミング左手の法則を学んだ群の中学生は,学んでいない群の中学生に比べて,コイルに力がはたらく理由をコイル左右の磁界のバランスが崩れることとして説明できない中学生が多くなることが明らかとなった。

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© 2009 日本理科教育学会
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