2012 年 53 巻 1 号 p. 39-48
本研究は,小学校6学年「水溶液の性質」の授業を対象に,個別実験を導入した協同的な学びと一般的なグループ実験での協同的な学びの違いが,科学的な概念の獲得や子ども同士の相互作用に与える影響を明らかにすることを目的とした。単元前後における水溶液の性質の保持概念に関する質問紙調査,TD(Transactive Discussion)の質的分析の類型に基づいた発話事例の解釈的分析により,以下の結果を得た。1)本研究における授業方略で個別実験を導入した協同的な学びを行った子どもは,統制群の子どもより概念的な理解が深まり,その効果は3ヶ月後も持続することが示された。2)個別実験を行った群では,一般的なグループ実験を行った群より操作的トランザクションの対話が生成された。3)本研究における授業方略(個別実験を導入した協同的な学び)で生成した操作的トランザクションが,概念形成を促していることが示唆された。