2012 年 53 巻 1 号 p. 147-153
新学習指導要領の中学校理科において,「放射線の利用」が導入された。新しい内容であるので,授業で使用される教材の検討と実践の評価が望まれている。本研究は,「放射線の利用」に関する教材を検討し,中学生を対象に授業を行った結果を報告するものである。検討した教材は,「霧箱」による放射線の観察,「核分裂反応のシミュレーション」「放射線を用いた非破壊検査」「放射線を用いた工業製品の製造」「放射線による害虫駆除」「放射線の人体影響」などである。中学校2年生を対象に授業を行ったところ,子ども達は,霧箱による放射線の観察を実施することができた。そして,授業の事前と事後で子ども達の「放射線」に対する認識の変容が見られた。このことから,本研究で検討した「放射線利用の教材」が有効であったことが分かった。