2012 年 53 巻 2 号 p. 275-284
本研究では,高等学校「化学II」の内容である反応速度を定量的にとらえる教材の開発および授業実践による教材の有効性を検討した。ビタミンB_1(チアミン)は栄養素として馴染みがあり,アルカリ条件下,ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムで酸化したときに生じるチオクロームは特徴的な青色蛍光を発し,生徒の興味・関心を引く化合物である。また,これまでの研究からビタミンB_1はアルカリ性では分解反応が進み,その反応速度はビタミンB_1濃度に比例する一次反応であることも示されている。今回,自作装置による蛍光強度の測定からこの分解反応の速度定数を求め,アレニウスプロットから活性化エネルギーを求めた。その結果は良好で,操作性の点でも生徒実験として適当な教材になりうると考え,高等学校3年生対象にこの教材による実験を実践し,質問紙調査をおこなった。