理科教育学研究
Online ISSN : 2187-509X
Print ISSN : 1345-2614
ISSN-L : 1345-2614
原著論文
子どもの科学概念構築における鑑識眼の機能と形成 : 小学校第5学年の「物の溶け方」の授業分析を事例にして
齋藤 裕一郎黒田 篤志森本 信也
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 53 巻 3 号 p. 441-450

詳細
抄録

協調的な理科授業における談話では,子どもたちが互いに多様な考えを表現し,それらに対する意見の交流により科学的な側面について吟味し深化させ合い,問題解決に有用な情報としてアプロプリエーションする。本研究では,こうした活動の一助として機能していると考えられる鑑識眼について,小学校理科授業を対象としてその形成と機能の分析を行った。この結果,鑑識眼は協調的な学びを通した社会文化的な所産であり,その形成には教師による子どもの学びと科学を結びつける価値付けがよきモデルとして寄与していること,子どもは鑑識眼に基づいて,談話の進展に応じて社会的分散認知化された他者の考えやイメージをアプロプリエーションしていたことを明らかにした。また,子どもはこうした鑑識眼を自ら形成し,さらに学び合いを通した自己・相互評価を通して更新することにより,科学的側面についての基準を深め,科学概念構築を行うことができたことを明らかにした。

著者関連情報
© 2013 日本理科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top