2013 年 53 巻 3 号 p. 441-450
協調的な理科授業における談話では,子どもたちが互いに多様な考えを表現し,それらに対する意見の交流により科学的な側面について吟味し深化させ合い,問題解決に有用な情報としてアプロプリエーションする。本研究では,こうした活動の一助として機能していると考えられる鑑識眼について,小学校理科授業を対象としてその形成と機能の分析を行った。この結果,鑑識眼は協調的な学びを通した社会文化的な所産であり,その形成には教師による子どもの学びと科学を結びつける価値付けがよきモデルとして寄与していること,子どもは鑑識眼に基づいて,談話の進展に応じて社会的分散認知化された他者の考えやイメージをアプロプリエーションしていたことを明らかにした。また,子どもはこうした鑑識眼を自ら形成し,さらに学び合いを通した自己・相互評価を通して更新することにより,科学的側面についての基準を深め,科学概念構築を行うことができたことを明らかにした。