理科教育学研究
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原著論文
マイクロスケール化学実験による銅イオンの移動―寒天を用いる反応系の改良による有色イオンの観察―
沼口 和彦中山 迅中林 健一
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2013 年 54 巻 1 号 p. 61-69

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抄録

本研究では,中学校理科及び高等学校の化学において,銅(Ⅱ)イオンの移動が観察できることを目的としてマイクロスケール化学反応装置の開発を行った。炭素棒を電極として,1.0 mol/L 硫酸水溶液を陽極相とし,寒天相を介して,1.0 mol/L 炭酸ナトリウム水溶液を陰極相とする3 相構造のマイクロスケール電気泳動装置を作製した。9 V 電圧で1.0 mol/L 硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気泳動実験を行ったところ,銅(Ⅱ)イオンの移動が電極付近まで途切れることなく観察されることが判明した。アンケート結果から本実験装置は生徒のイオンの移動の観察を容易にするとともに,イオンの粒子概念を伴う理解に役立つことが明らかとなった。

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© 2013 日本理科教育学会
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