2019 年 60 巻 2 号 p. 291-300
本研究では,小学校教師20名・中学校教師38名および教育系大学生148名・理学系大学生45名を対象として,理科におけるものづくりの指導経験および学習経験,ものづくりに対する認識を質問紙調査により探った。大学生および教師のものづくりの学習経験および指導経験として,第一に,大学生はものづくりを好きだと感じており,不得意というよりは得意であると認識していた。第二に,所属学部や性別によって,ものづくりの好き嫌いや有能感,実施頻度感には違いが見られなかった。第三に,中学校教師は,小学校教師と比べて,理科授業でものづくりを実施していなかった。教師や大学生のものづくりに対する認識として,第一に,大学生と教師は,観察・実験と比べて,ものづくりを取り入れた授業が望ましいとは思っていなかった。第二に,大学生と教師は,子どもは観察・実験とものづくりの双方が好きであるが,必ずしも得意ではないと認識していた。第三に,ものづくりの教育的な意義の内容について,大学生と教師は,創造性の伸長,知的好奇心の喚起,ものづくり技能の向上を,教育的な意義として共通に認識していた一方で,科学的な知識の定着の効果では,認識の違いが見られた。これらを踏まえ,ものづくりによる理科学習の促進に向けた示唆として,カリキュラム・マネジメントの推進,ものづくりを取り入れた授業モデルの開発と授業研究の充実を指摘した。