2020 年 61 巻 2 号 p. 207-217
近年,持続可能な社会に向けた問題に対応するためには,従来にはない新たな知の創造を行うという活動が望まれている。その1つに,SDGsを通じ,トランス・ディシプリナリー的な見方の実践活動があげられる。これは,持続可能な社会づくりに向けた活動と同時に,科学の進展を目指すことを目的としている。そこで,本研究ではこのトランス・ディシプリナリー的見方の獲得に向け,持続可能な社会と,科学の進展を関連づけさせるための授業を,中学校第2学年を対象に行った。ここでは,SDGsに関する複数の問題間にある関連性(ネクサス)に着目し,科学的知見を用いてネクサスの評価を行った。この授業を通して,持続可能な社会と科学の進展の関連性を認識できた生徒がいた反面,科学の進展の必要性には結びつかない見方に留まってしまう生徒も確認できた。