2022 年 63 巻 1 号 p. 85-94
本研究では,防災を含む安全教育に求められるカリキュラム・マネジメント(現代的な課題に関連した教科横断的な教育内容)の具体的な取り組みとして,SDGsゴール11「都市と人間居住地を包括的,安全,強靭かつ持続可能にする」を核に,安全教育(防災教育)のねらいに沿った,水害を軽減する方法を考える教材の開発を行った。そして,小学校第5学年の児童を対象に,その教材を活用した授業の教育効果を,安全教育の目標に照らして検証した。その結果,児童は理科や社会科で学んだ知識を基に,思考力・判断力・表現力等を駆使して,水害を軽減する方法を考えていることがわかった。また,教科教育と学校行事や特別活動を結びつける役割も期待できることが示唆できた。さらに,本稿で扱った教材を用いた授業実践を通じて,SDGsゴール11だけでなく,SDGs6.6やSDGs12.8など,他のSDGsのターゲット達成にも可能性を示すことができた。