理科教育学研究
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資料論文
理科学習における資質・能力としての粘り強さについての一考察
―困惑状況を生起させる方法の開発―
前田 光哉, 寺田 光宏
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2022 年 63 巻 2 号 p. 445-453

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抄録

理科における資質・能力としての粘り強さは「主体的に学習に取組む態度」を評価する際の基本となる側面であり,問題解決の過程や探究の過程などの学習過程の中での育成が重要である。数学科では数学的推論で発揮される粘り強さを試行錯誤と相互作用する好奇心,困惑,当惑などの感情を可視化することで見取る研究がある。一方理科では粘り強さが発揮される状況は具体的に示されておらず,先行研究は見当たらなかった。本研究では,理科学習における資質・能力としての粘り強さを育成する上で必要な困惑状況を生起させる方法を開発することを目的とした。理科における困惑状況が生起される条件を「ものづくり」と「素朴概念」の2つから整理し,試行錯誤が可能な「割り箸天秤」の作製・困惑状況の起点となる「たしかめ活動」の開発を行った。これらの有効性を確かめるため,中学1年生24人を対象に調査を行った。学習者の試行錯誤の様子についてのビデオ分析の結果,たしかめ活動を行った素朴概念を保持する15人の学習者に対して困惑状況を生起させることができた。さらに,困惑状況下に置かれた学習者は,困惑状況下で試行錯誤を続けることができる学習者と,行き詰まりを感じて当惑状況へと移行して試行錯誤をやめたり,課題から離れたりするなどの課題を回避する学習者に分かれることが明らかになった。開発した方法は有効であり,理科において困惑状況は粘り強さが発揮される状況の1つであることが分かった。また,当惑状況へ移行した学習者への支援を検討の必要性が理科においても示唆された。

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© 2022 日本理科教育学会
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