2024 年 65 巻 1 号 p. 119-131
本研究は,運動エネルギーを熱エネルギーに直接変換するエネルギー変換教材の開発を行い,検証授業を通して教材の有用性を検証したものである。その結果,以下の3点が明らかになった。1)SMAばねは,引き戻すとマルテンサイト変態により,付荷・除荷過程が異なるため発熱する。2)生徒は,検証授業を通して実感の伴う理解が得られ,その理解は一ヵ月後も保たれた。3)生徒は,SMAばねを実験操作が工夫できる上,新たな発見のある教材と考えていた。これらのことから,SMAばねを用いた引き戻し教材は,エネルギー変換を体験的に学ぶ教材として有用であることが示唆された。