2022 年 21 巻 1 号 p. 15-19
66歳,男性。初診の10年前に左鼠径部から陰嚢にかけて境界明瞭な紅斑とびらんが出現した。近医を受診し,皮膚生検で乳房外 Paget 病と診断された。1cmマージンでの腫瘍切除術,左鼠径リンパ節郭清術を施行した。病理組織検査より乳房外 Paget 病 pT2N2M0 Stage IIIb と診断した。術後 1 年 3 ヶ月に PET-CT 検査で,腹腔内リンパ節転移を認め,ドセタキセル(DOC)療法を開始した。その後,内臓転移は認めなかったが,DOC療法34クール施行後に構音障害と左上肢の巧緻運動障害を認めた。造影 MRI で右中心後回下部に単発性腫瘤を認め,脳転移と判断した。単発であったことと,神経障害があったことから開頭腫瘍摘出術を施行した。摘出術施行により神経障害は改善した。 脳転移を来した乳房外 Paget 病の報告例をまとめ,乳房外 Paget 病の脳転移に対して開頭摘出術がQuality of life の向上に有効となる可能性について考察した。 (皮膚の科学,21 : 15-19, 2022)