抄録
1歳児歩行について,左右方向の関節変位,関節角度変位,歩行リズムを求め,歩行開始からの月数に伴う歩行パターンの変化ならびに成人歩行との違いを比較検討した.その結果,1歳児の中でも歩行開始初期の乳幼児歩行は成人歩行と大きく異なり,歩行開始から6ヵ月内に著しい発達が見られた.すなわちひとり歩きが可能になってから半年程度は,肩や腰の左右の揺れが大きい,股関節の伸展が弱い,着地時の膝屈曲がやや大きく可動域が小さい,歩調が大きい,といった乳幼児特有の歩行パターンが顕著にみられる.それ以降は徐々に成人様歩行に移行するが,歩行比(歩幅[m]/歩行率[steps/min])からみると成人歩行に至るのはおよそ15歳であると推測された.