本研究は,高齢女性5名の縦断追跡研究中に,不幸にして死亡した2名の被験者の生前約1年前の最終歩行テストのデータの検討から,他の3名との比較を通して,高齢者の歩行動作の衰退様式を考察した.ビデオ映像から通常歩行動作の歩行速度,歩幅,歩数,つま先の垂直変位および1サイクルの時間などを算出した.膝の伸展力についても計測した.この2名の死亡約1年前の歩行動作は,歩行速度を初めとする動作の衰退傾向が認められた.その中,特に歩幅,つま先の垂直変位および膝の伸展力の著しい低下が見られた.約1年間における歩行速度,歩幅およびつま先の垂直変位の低下率については,死亡した2人の値は,今まで報告された一般高齢者より大きかった.
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