バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
床反力による最小つま先クリアランスの推定手法の提案
小林 吉之青木 慶渋沢 英次郎持丸 正明
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キーワード: 転倒, 歩行分析, 床反力, 計測
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2013 年 37 巻 4 号 p. 233-242

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抄録
本研究は,将来的には誰もが手軽に歩行中のつまずきリスクを評価できるようにするために,ユーザの歩行中の床反力と事前に第三者の歩行データから作製されたモデルを用いて歩行中の最小つま先クリアランス(Minimum Toe Clearance:以下MTC)を推定する手法を提案することを目的とし,同手法によって作製されたモデルの安定性とそのモデルによる推定精度を評価した.はじめに,若年健常者26 名および高齢健常者6 名から,一歩行周期分の床反力とその一歩におけるMTC を計測した.次に,若年者のデータからランダムに20 名分のデータを取りだし,床反力からMTC を推定するモデルを10 通り作製した.提案手法の安定性は,各モデルの寄与率および各モデルに投入された独立変数で評価した.また提案手法の推定精度については,残りの若年者6 名分および高齢者6 名分のデータから得られたMTC の推定値と実測値との誤差(root meansquared error:以下RMSE)および両者の相関係数で評価した.その結果,寄与率は0.67±0.03 となり,各モデルに共通して選択される独立変数が5つあることも確認された.MTC の推定値と実測値とのRMSE は若年者が4.6±0.7[mm],高齢者が6.4±0.5[mm] と,先行研究に近い値を示し,更に推定値と実測値との相関係数は有意であった.以上のことから本研究で提案した手法は,モデルを作製する被験者群に関わらず安定して同質のモデルが作製でき,かつ先行研究の手法と近い精度でMTC を推定できることが確認された.
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© 2013 バイオメカニズム学会
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