抄録
本稿では,著者らの提案する「人力ロボティクス」のコンセプトについて紹介する.これは操作者が加える動力により駆動されながらもシステム内部の動力流れの操作によりその運動を制御することで,自転車や手動ホイストなどのような人力
機械の長所とロボットシステムとしての多機能性を兼ね備える知的人力システムを実現しようとするものである.これまでに,一対のパウダクラッチを用いた1 自由度関節機構による出力軸のサーボ制御,また開発した人力パーソナルモビリティによる搭乗者のペダリング動力による車輪角度制御,前後進や超信地旋回,倒立振子制御などを実現している.このほか開発中の回生ブレーキと差動歯車を用いたサーボクラッチ機構,およびこれを用いた関節機構についても紹介する.