抄録
ヒトと機械の融合技術は,障害者支援や労働補助,身体機能の拡張など,様々な用途への応用展開と科学的興味を有する.この論文では,筋電義手を事例としてヒトと機械の協働システムにおける脳の適応現象に着目し,これを解析する装置の開発状況について報告している.提案されたシステムは,筋電義手と脳活動の計測システムによって構成され,筋電義手は,筋電図(EMG)パターンを認識することができる学習機能(個性適応機能)を有する.実験による解析と評価は,筋電義手のパフォーマンス評価に用いるPick-and-Place 実験を行った際の皮質領域の活動を,fNIRS(functional Near Infrared Spectroscopy,近赤外脳機能計測法)によってリアルタイムに測定し解析することで行う.