抄録
脳卒中治療ガイドライン2015で「推奨する」とされた促通反復療法は,治療者が目標の神経路の興奮水準を高めることによって患者の意図した運動の実現と反復を可能にした.これによって,これまで難しかった個々の指の運動性下行路まで効率的に再建・強化ができるようになった.その効果の科学的検証では脳卒中患者の麻痺や麻痺側上肢での物品操作能力,歩行,ADL の改善が証明されている.基本的な治療理論と実際の手法を上肢と歩行について紹介し,訓練用ロボッ トへの応用や低周波電気刺激や振動刺激などとの併用療法についても紹介したい.