抄録
自立歩行可能な多くの高齢者に使われているシルバーカーは,僅かな段差でも乗り越え難い問題があり,無理に乗り越
えようとして,転倒・怪我に至る危険性がある.本論文は,シルバーカーの段差対策用に考案した後付け車輪とリンク機構を用いた段差乗り越え機構について報告する.またシルバーカーが段差を乗り越え難い理由について考察し,乗り越え可・不可の観点から求めた段差高さと前輪径の関係についても報告する.段差と前輪間の接触力成分の評価には,簡単なL字型梁を用い,理論的乗り越え可・不可条件は,実験結果とほぼ一致することを確認した.