本研究の目的は,骨代謝マーカーから算出した骨形成・骨吸収バランスと骨代謝回転レベルを用いて,男女別に加齢による骨代謝の変化を捉え,骨代謝のメカニズムについて検討することである.男女 55名を対象に,骨形成マーカーである骨型アルカリホスファターゼ( BAP)と骨吸収マーカーである酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ( TRACP-5b)の血中濃度測定および超音波法による骨密度測定を行った.骨代謝マーカーから骨形成・骨吸収バランス,骨代謝回転レベルを算出し,男女別,年代別に分析を行った.その結果,男女とも年齢と骨密度とに有意な負の相関関係を認めた.骨代謝評価は,象限 Ⅰ fast formation,象限Ⅱ fast resorption,象限Ⅲ slow resorption,象限Ⅳ slow formationの 4つの象限に分割し,分析を行った. 21~ 39歳は,男女とも slow formationに分布し, 40~ 54歳の男性は均衡した状態にあったのに対して,女性は, fast resorptionに分布する傾向にあり,加齢による骨代謝の変化の過程であることが推察された.