バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
46 巻, 3 号
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研究
  • 長谷川 秀隆, 長谷川 結香, 松木 秀明
    2022 年 46 巻 3 号 p. 166-175
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,骨代謝マーカーから算出した骨形成・骨吸収バランスと骨代謝回転レベルを用いて,男女別に加齢による骨代謝の変化を捉え,骨代謝のメカニズムについて検討することである.男女 55名を対象に,骨形成マーカーである骨型アルカリホスファターゼ( BAP)と骨吸収マーカーである酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ( TRACP-5b)の血中濃度測定および超音波法による骨密度測定を行った.骨代謝マーカーから骨形成・骨吸収バランス,骨代謝回転レベルを算出し,男女別,年代別に分析を行った.その結果,男女とも年齢と骨密度とに有意な負の相関関係を認めた.骨代謝評価は,象限 Ⅰ fast formation,象限Ⅱ fast resorption,象限Ⅲ slow resorption,象限Ⅳ slow formationの 4つの象限に分割し,分析を行った. 21~ 39歳は,男女とも slow formationに分布し, 40~ 54歳の男性は均衡した状態にあったのに対して,女性は, fast resorptionに分布する傾向にあり,加齢による骨代謝の変化の過程であることが推察された.
  • 村澤 智啓, 小林 吉之, 小関 道彦
    2022 年 46 巻 3 号 p. 176-184
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/03
    ジャーナル フリー
    ランニング中の大きな leg stiffnessは優れた長距離走パフォーマンスに関連づけられるが,大きな leg stiffnessに関連づけられる運動学的特徴は十分明らかにされていない.そこで本研究では, 14名の優れた長距離ランナーを含む 28名の実験参加者の,ランニングにおける運動学的変数に対し主成分分析を行い,優れた長距離ランナーの運動学的特徴を記述する主成分と leg stiffnessの間の関係を調べた.その結果,第 1主成分のみが優れた長距離ランナー群で有意に大きく( p ‹ 0.01),かつ leg stiffnessと有意に相関する( r = 0.77, p ‹ 0.01)ことが明らかになった.この主成分は,立脚期における,小さな骨盤下降変位や小さい膝関節の屈曲運動範囲など,大きな leg stiffnessに関係する HRの運動学的特徴を記述していた.
解説
  • 久米 洋平
    2022 年 46 巻 3 号 p. 138
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー
  • 本田 幸夫
    2022 年 46 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー
    日本は 65 歳以上の高齢者の総人口比率が 2021 年時点で 29% を超え世界でも類を見ない超高齢国家となっている.その結果,少子高齢化に伴う人口動態の変化によって,介護を必要とする人が増加する一方で介護をする人材不足が大きな社会問題となっている.そこで,経済産業省と厚生労働省が中心になり,高齢者の自立支援と介護者の負担軽減を実現することを目的に,世界に先駆けロボット介護機器の開発・導入・普及プロジェクトが進められてきた.本論文では,国家プロジェクトの活動内容を紹介するとともに,プロジェクトの成果とロボット介護機器の普及に向けた今後の展望を述べている.
  • 長谷川 みほ
    2022 年 46 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー
    社会福祉法人海光会特別養護老人ホーム「海光園」は 2021 年 12 月現在 18 種類の福祉機器を導入し現場における課題解決にいち早く取り組んできた.2013年メンタルコミットロボットパロ・床走行リフト,2014年離床アシストロボットリショーネを導入,丁寧に対象者を選定しながら現在も運用している.骨格としては PDCA サイクルの CA に重点を置き,近年ではインパクトを出すために 2018 年天井走行リフト(12 床分)導入,2022 年度は新たな増設を予定している.課題解決は小さく始め,文化が定着したら台数を増やし新しい手順の標準化を確実にする戦略で現場変革を推進している.
  • 仲根 伸幸
    2022 年 46 巻 3 号 p. 150-160
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー
    株式会社 FUJI は,経済産業省・AMED が行う「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の採択を通じ,介護従事者の 負担軽減をするための機器「移乗サポートロボット Hug」を開発した.立ち上がるのが難しくなった高齢者がベッドから車椅子やトイレへ移動する際の,乗り換え動作(移乗)を支援する.移乗の際,高齢者は Hug へ寄りかかり,介護者は「たつ」ボタンを押すことで,立ち上がりの動作が簡単に行える.製品開発を行ってきた経緯や要点などを紹介する.
  • 吉村 真人
    2022 年 46 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー
    増々進展する少子高齢化によって介護現場の労働力不足という深刻な課題に真正面から解決に取り組み,当社は介護施設向け見守り介護ロボットとして「シルエット見守りセンサ」を開発した.2014 年(今から 8 年前)に掲げた私たちの目標は「介護ロボットの普及」であった.当時は介護ロボットという言葉が生まれたばかりで認知度はゼロであったが,そのような状況下にて経済産業省が主導された「ロボット介護機器開発・導入促進事業」という事業が私たちの目標を「単なる見守りセンサの開発・製造・販売」から「介護ロボットの普及」へと変えていただいた.当社はセキュリティ機器開発のメーカーとして 50 年以上の歴史がある会社である.そんなまったくの畑違いの当社が,どういった経緯で介護ロボットを開発しようと考えたのか.単なる機器紹介ではなく,開発メーカーの視点で開発コンセプトや機器の仕様をどのように考えて,実現に至ったのかを紹介させていただく.
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