抄録
安静時fMRI(resting-state fMRI: rs-fMRI)は,特定の課題を行わない状態での脳の自発的活動を測定し,脳の機能的構造についてアプローチする手法である.本解説では,rs-fMRI研究の基本原理,データ取得時の注意点,前処理手順,および主要な解析手法について概説する.具体的には,脳領域分割法,グラフ理論的解析,シード領域相関解析,動的機能的結合性解析,多変量パターン解析を取り上げ,これらの手法により得られる安静時脳ネットワークの特性や,個人差,精神疾患との関連性について触れる.さらに,機能的コネクトーム類似性解析や深層学習の応用など最新の研究動向を紹介し,大規模データ解析や個別化医療への応用可能性にも言及する.最後に,rs-fMRI研究が脳科学の基礎研究と臨床応用の両面で果たす役割を評価するとともに,本分野の今後の展望と課題について考察する.