社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
投稿論文
社会関係資本の類型と福祉国家の寛容性との関係についての検討
北井 万裕子
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 10 巻 3 号 p. 107-118

詳細
抄録

 本研究は,社会関係資本と福祉国家の関係を再検討することを目的とする。先行研究では,福祉国家を社会関係資本の制度的基盤と位置付ける制度中心的仮説と,反対に福祉国家は社会関係資本を衰退させると考える社会中心的仮説の二つの観点で理解される。対立的に捉えられる両仮説を,社会関係資本に伴う特定的信頼と一般的信頼という信頼の類型概念から再検討し,次のような両立可能性を導出した。すなわち,福祉国家は特定的信頼を弱めるが,一般的信頼を高めるという論理であり,それを仮説として実証分析を行った。分析結果から,第一に,普遍主義的福祉国家という特徴をもつ北欧諸国でのみ特定的信頼と一般的信頼の両方が高いこと,第二に,福祉国家を脱商品化指標と家族関係支出で捉えると,家族関係支出のみが一般的信頼と正の関係にあることが示され,第三に,福祉国家と特定的信頼との負の関係はみられず,社会中心的仮説に沿った結果は観察されなかった。

著者関連情報
© 2019 社会政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top