抄録
制約理論を研究するのに、具体的な現場に適用して、その適用に当っての困難さはどんなところに存在するのかを実践してみる。実際の現場では必ずしも十分なデータが収集されているとは限らず、そのデータの中から何が律速段階であるかを想定する必要があり、その想定の根拠となるデータの加工、表現方法を工夫する必要が出てくる。そのことを前提とした上で、TOCの適用の本筋をはずさない展開はどうすべきかを小さなモデルとして展開してみることによって、TOCの効果の大きさを実証する。このモデルのTOCの適用過程を知って頂いて、TOCがかなり実用性があるということと、工夫のしようがあることを知っていただいたら幸いです。実際にこの小さな企業は部品生産平均日数が4.64日から1.41日まで短縮され、納期遅れは0となり、何よりも職場のあちらこちらに散在していた途中在庫品の山がなくなったことは大きい成果です。これによって部品調達の日は納品に近づけて行うことができ、材料在庫もだいぶ減ります。つまりキャッシュフローも大きく改善されます。この後は、工作機械の真の限界点をもう少し精度上げるために、詳細なデータをとりなおし、顧客に納期遅れを起こすことなく、全体受注量を何処まで増やせるかを実証できればと思っています。