社会情報学
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原著論文
インターネットでのニュース接触が犯罪不安に与える影響
鳶島 修治
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2020 年 8 巻 3 号 p. 115-128

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抄録

本稿では,日工組社会安全研究財団が2014年に実施した「第5回社会生活における不安感に関するアンケート(犯罪に対する不安感に関する調査)」のデータを用いて,インターネットでのニュース接触が犯罪不安に与える影響について検討する。犯罪不安の規定要因に関する研究では以前からメディア接触の影響に関心が向けられてきたが,従来の研究はマスメディア(新聞,テレビ,ラジオ)に焦点をあてており,インターネットでのニュース接触が犯罪不安に影響するのかどうか(また,どのように影響するのか)は明らかにされていない。近年ではスマートフォンをはじめとしたモバイル端末の急速な普及によってインターネット上でニュースを読む機会が多くなっており,インターネットでのニュース接触が犯罪不安に与える影響を実証的に検討することは重要な課題である。犯罪不安の規定要因に関する重回帰分析の結果,インターネットでのニュース接触の頻度は本人犯罪不安および同居家族犯罪不安を高めることが示された。また,年齢層別の分析から,インターネットでのニュース接触が本人犯罪不安を高める効果をもっているのは20~39歳の若年層だけであること,40~59歳の年齢層ではテレビでのニュース接触が本人犯罪不安および同居家族犯罪不安を高める効果をもっていることが示された。他方で,60歳以上の高齢層に関しては,新聞・テレビ・インターネットでのニュース接触と本人犯罪不安の間に明確な関連が見られなかった。

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