抄録
室温で高いプロトン伝導を示すリン酸(H3PO4)を担持したリン酸ジルコニウム(γ-Zr(PO4)(H2PO4)・2H2O)粉末およびアルミナ(Al2O3)粉末の圧粉体を電解質に用いた燃料電池の発電特性を調べた。プロトン伝導性γ-Zr(PO4)(H2PO4)・2H2O電解質と<5
%Pt-C + H3PO4>複合電極を用いた燃料電池の場合、開回路電圧は0.55 V、発電最高出力は0.020 mW・cm–2であった。プロトン伝導性を向上させた<γ-Zr(PO4)(H2PO4)・2H2O + H3PO4>複合電解質と<5 %Pt-C + H3PO4>複合電極を用いた燃料電池の場合、開回路電圧は0.73 V、発電最高出力は2.5 mW・cm–2であった。γ-Zr(PO4)(H2PO4)・2H2O粉末を絶縁性Al2O3粉末に換えた<Al2O3 + H3PO4>複合電解質と<5 %Pt-C + H3PO4>複合電極を用いた燃料電池の場合、開回路電圧は0.75 V、最高発電出力は7.0 mW・cm–2であった。したがって、γ-Zr(PO4)(H2PO4)・2H2O粉末およびAl2O3粉末は共にH3PO4の担持体としてのみ機能していると判断できる。平均粒子径(0.3 µm、0.7 µm、1 µm、10 µm)が異なるAl2O3粉末を用いて平均粒子径が発電特性に及ぼす影響について調べた場合、平均粒子径0.3 µmのAl2O3粉末で最も高い発電特性(開回路電圧:0.84 V、最高発電出力:14 mW・cm–2)が得られた。これらの結果から、3時間程度の学生実験において、室温大気下で作製でき、その発電特性を測定できる無機電解質粉末を用いたプロトン燃料電池セルを提案した。