日本水産学会誌
Online ISSN : 1349-998X
Print ISSN : 0021-5392
ISSN-L : 0021-5392
報文
キダイ酢漬け魚肉の低温貯蔵に伴うドリップ生成に対する食塩の抑制効果と塩漬魚肉中の筋原繊維タンパク質の変化
奈須 亮耶松川 雅仁大泉 徹加納 竜一大田 慎司
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 82 巻 3 号 p. 349-357

詳細
抄録

 キダイ酢漬け魚肉のドリップ(D)生成に対する NaCl による抑制効果を塩漬魚肉中の筋原繊維(Mf)の生化学的性状の変化と関連づけて検討した。塩漬における NaCl 撒布量と塩漬時間に依存して酢漬け魚肉からの D の生成量は減少した。塩漬魚肉の SDS-PAGE 図型と Mf 回収量および Ca-ATPase 活性に塩漬による変化は見られなかった。一方,塩漬に伴い Mf 中のミオシンとアクチンの NaCl 溶解性は低下した。以上のことから,塩漬による D 生成の抑制は Mf の不溶化を伴う構造変化と関連して起こることが示唆された。

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 日本水産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top