2016 年 82 巻 3 号 p. 349-357
キダイ酢漬け魚肉のドリップ(D)生成に対する NaCl による抑制効果を塩漬魚肉中の筋原繊維(Mf)の生化学的性状の変化と関連づけて検討した。塩漬における NaCl 撒布量と塩漬時間に依存して酢漬け魚肉からの D の生成量は減少した。塩漬魚肉の SDS-PAGE 図型と Mf 回収量および Ca-ATPase 活性に塩漬による変化は見られなかった。一方,塩漬に伴い Mf 中のミオシンとアクチンの NaCl 溶解性は低下した。以上のことから,塩漬による D 生成の抑制は Mf の不溶化を伴う構造変化と関連して起こることが示唆された。